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利用者視点で考える
知的・発達
障害のある人

トイレの“バリアフリー”というと、
これまで車椅子ユーザーをはじめとした
「身体に障害のある人」への配慮が中心でした。
しかし、発達障害のある子どもと保護者に
アンケートをとってみると、
その多くが外出時のトイレ利用に
困っていることがわかりました。

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発達障害とは

発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発言するものと政令定めるものをいう。(発達障害者支援法第二条第一項より)
上記の定義では、「知的障害」は発達障害に含まれていませんが、発達障害のある人の中には知的障害を伴う人も少なくないため、本ページでは知的障害も発達障害の中に含みます。

知的障害・発達障害の特性
突然、大きな音が鳴るのはとても苦手(感覚過敏など) 目に入ったものをすぐに触ってしまうことがある(不注意・衝動性など) 知覚障害がある人は、介助が必要になる場合がある(人的介助)

約8割の保護者がトイレで困っている

実際に、発達障害のある子どもを持つ保護者の約8割が 「パブリックトイレで困ったことがある」と回答しています。子ども本人が困るケースだけでなく、 一緒にいる保護者が困るケースも少なくありません。

パブリックトイレで困ったことはありますか?

画像:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)
  • 調査データ出典:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)

トイレで一番の困りごとは
「汚れやニオイ」

パブリックトイレで「どのようなことで困っているか」を尋ねたところ、最も多かったのは「汚れやニオイ」に関することでした。子どもが便器や床などを触ることやパブリックトイレ特有の芳香剤のニオイを嫌がるなどの回答が多くみられました。また、「異性介助」に関する意見も多く、母親と男の子の組み合わせがトイレ選びに困っていることがうかがえます。

パブリックトイレでどのようなことに困っていますか?(複数回答)

画像:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)
  • 調査データ出典:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)
POINT

ニオイ吸着効果のある機能建材を
トイレの壁面へ

機能建材エコカラットプラスには、肉眼では見えない微細な孔が無数にあり、その孔がニオイの原因成分を吸着し、悪臭をすっきり脱臭。さらに、優れた調湿性能もあり、快適な湿度を保とうとします。

  • 実駅パブリックトイレより捕集したトイレ臭を用いて効果検証。試験体(80mm角)をにおい袋(3l)に入れ、ヒートシールを施した後、捕集した実トイレ臭気を封入し、室温下で 1時間放置し臭気レベルをニオイセンサー(新コスモス電機(株) XP-329IIIR)にて測定。予め求めたニオイセンサーと臭気濃度との変換値より嗅覚相当の残存率(%)に換算
  • 試験結果はエコカラットによるものです。エコカラットは2019年にエコカラットプラスへ統合されておりますが、エコカラットとエコカラットプラスでニオイの吸着性能が変わらないことを確認しております。
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突然、大きな音が鳴ることは苦手

子どもが苦手な感覚について尋ねたところ、最も多かったのは「音」に関する感覚。「ハンドドライヤーなどの大きな音が突然鳴ることが苦手」「赤ちゃんの鳴き声が嫌い」など、音に関する意見が多くありました。ハンドドライヤーやトイレ用音響装置は多くの人にとって便利なものですが、それらの音を苦痛に感じる人もいます。予想できない大きな音を避けることができる空間とできない空間で分けるという発想があってもよいのかもしれません。

発達障害のある子どもの
苦手な感覚は?(複数回答)

画像:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)
  • 調査データ出典:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)

保護者自身が利用することも多い
「多機能トイレ」

多機能トイレを利用する保護者は約7割。その理由は、「保護者が一緒にトイレを使うため」が最も多く、次いで「おむつ交換のため」 、そして「異性介助のため」が続きました。多機能トイレほどの広さや設備は必要としなくても、異性の子どもと保護者が一緒に入れるトイレへのニーズが高いことがわかります。

  • 本調査では、発達障害のある子どもの2~3割がおむつを利用していました。

多機能トイレを利用することはありますか?

画像:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)

多機能トイレを利用する理由は?(複数回答)

画像:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)
  • 調査データ出典:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)

保護者がトイレを使うために多機能トイレを利用する際、「子どもが外に出ようとする」ことがよくあります。実際にアンケートをとったところ、4割の保護者が「経験がある」と回答。手の届く位置に鍵があると容易に開けることができてしまうため、子どもの手の届かない場所に補助の鍵を配置するなどの工夫が求められます。

多機能トイレ使用中に
「子どもが外に出ようとする」ことはありますか?

画像:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)
  • 調査データ出典:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)
POINT

発達障害のある子どもへの
配慮ポイント例

カーテン
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ブース内にカーテンやついたてを設置し、プライバシーに配慮。身だしなみを整えるために姿見があると便利。

チェンジングボード
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トイレブース内に着替え台を設置し、おむつ交換などの介助をサポート。ただし、鍵やボタンの近くは避ける。

ドア上部に鍵
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保護者が排泄している間に子どもが突発的に外へ飛び出さないように、通常の鍵の上部に補助鍵を設置。

多機能トイレの利用には気が引ける…

「多機能トイレで困ったこと」について、4割以上の保護者が「車椅子の人が来ないか心配」と回答。実際に、車椅子ユーザーの72%が「多機能トイレで待たされた経験がある」という調査結果もあります。オストメイトや乳幼児連れ、高齢者などさまざまな人に配慮した機能を盛り込んだ、広くて使いやすい多機能トイレ。一方で、利用者が集中し、車椅子ユーザーが利用できないという問題も生じています。

  • 出典:共生社会におけるトイレの環境整備に関する調査研究, 2018年度(国土交通省)

車椅子の人が来ないか
心配になることはありますか?

画像:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)
  • 調査データ出典:発達障害のある子どもの公共トイレに関する研究, 2018(社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団、日本工業大学、横浜国立大学)
POINT

発達障害のある子どもと保護者が
一緒に入れる「男女共用広めトイレ」

多機能トイレに利用者が集中し、車椅子ユーザーが待たされるという問題もあり、オストメイトやおむつ交換台などの設備を分散して配置する流れがあります。今後はさらに、発達障害のある子どもとその保護者に配慮したトイレを増やすことも重要課題のひとつです。

ニオイ・音・光に配慮したトイレ空間

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エコカラットを壁面に貼って、トイレのニオイ対策。意匠性も高く、調湿効果も期待できる。

idea 02

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個室にすることで、ハンドドライヤーなど予想できない大きな音を避けることができる。

idea 03

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まぶしい光(直接照明)や昼光色などの色温度の高い色は苦手な子どもが多い。間接照明や電球色などの色温度が低い色を選ぶ。

idea 04

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子どもが興味を持ちやすい鍵やボタン付近は避けて、おむつ交換や着替えができるチェンジングボードを設置。

idea 05

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モノを詰まらせても、取り出しやすい掃除口付きの便器を選択。

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大便器横に、保護者が用を足している間、座って待てるベンチを設置。プライバシー配慮のためについたてを設置。

LIXIL User Survey Report
「発達障害のある人への配慮」

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